真珠のお手入れ〜②本当のクリーニングのススメ

真珠のお手入れ？クリーニング？と初めて聞く方も多いことでしょう。真珠は生き物が作った宝石です。だから他の宝石とは違うお手入れが必要なのです。「真珠独自のクリーニング」技術についてご説明いたします。

真珠ネックレスの劣化の現状

例えば真珠のネックレスの糸が伸びていたり切れたりして「糸」を新しく替えることがあっても、真珠そのものをクリーニングすることは今まで考えた事がありませんでした。ほとんどのネックレスは肌に接して着けられ衣類と同じように汚れないわけがありません。糸をはずしてみると珠と珠の間などは驚くほど汚れが溜まっており、真珠の表面が白ボケていたり、光沢がなくなってしまっていたり、黄ばんでしまったりしているものも少なくありません。皮脂や化粧品など真珠表面に付着した汚れを取り去るには布で拭けばよいのですが失った光沢はとり戻せないと長い間あきらめていました。

珠と珠の間と糸の汚れ

真珠のクリーニングを知った経緯

一昨年の初冬に、日本リ•ジュエリー協議会の主催する新春セミナーに出席した際テキストにはさまった一枚のチラシにくぎづけになりました。「パールクリーニングのご案内」え？パールってクリーニングできるの？どうやって？読み進めてみると「パールリフレッシャーという特殊な機材を使用する」「真珠層を数層取り除くとある」ふむふむ取り除くとはどうやって？液体？薬品？どういう機材なの？頭の中はそのことでいっぱいでした。ちょうどそのパールリフレッシャーを開発した真珠科学研究所の方が真珠のメンテナンスに特化したセミナーを実施されるとのことでその説明に来られていました。

ミクロ的に見た真珠層の構造

どうやら光沢をよみがえさせるには洗浄するのではなく研磨するとのこと。真珠を一皮、１ミクロンほど研磨して一皮剥くことで下からきれいな層が出てくるらしいのです。驚き！研磨！まさか！研磨なんてしたら薄くなってしまうのでは？それが真珠というのはタンパク質と炭酸カルシウムが交互に積み重なって数千層の結晶層から構成されているとのこと。

真珠層一層の厚みは0.3~0.5ミクロン（１ミクロンは0.001mm)、荒れた結晶層の10層をはがしたとしても約4ミクロン、千分の４ミリであり、肉眼で見えるレベルではないのです。

というわけで中の核が出て来てしまうほど研磨されることは全くないのです。

真珠の救世主「パールリフレッシャー」

真珠のクリーニングに使用する機器「パールリフレッシャー」は2009年に日本大学工学部と真珠科学研究所が共同開発されました。研磨剤を使うのではなく特殊な研磨材が練り込まれた「研磨ブラシ」を使用しているとのこと。真珠のごく表面の軽度、中度の真珠層の溶解を研磨することで、失われた光沢を蘇らせるのです。

パールメンテナンスのセミナーで学んだこと

早速、真珠のメンテナンスに特化したセミナーに参加し、真珠の基礎知識から診断方法、クリーニングにエステ！糸換え方法まで教わってきたのでした。
真珠はダイアモンドなどの「鉱物起因の宝石」と違い「生物起因の宝石」です。それがあの独特な真珠の美しさのヒミツなのです。その美しい輝きを維持するためには真珠独自のクリーニング＆エステ技術が必要です。カスタムメイドジュエリーフジコでは真珠のネックレスの糸換えの際には真珠の失われてしまった輝きを元に戻す「本当のクリーニング」をおすすめいたしております。

大切な真珠の輝きをクリーニングで取り戻した後には、変色やひび割れなどの内部からの起こる品質の低下を遅らせるための真珠のエステをして耐久性を高めることが美しさを維持する秘訣です。

パールネックレスのクリーニング＆エステには診断が必要です。
真珠のクリーニングは本真珠（アコヤ真珠、白蝶真珠、黒蝶真珠）が対象です。イミテーション（模造真珠）、淡水真珠、マベ真珠は対象外です。