受け継いだ大切なジュエリーを、一つずつ丁寧にクリーニング
大切な方から受け継いだ、パールブローチ。
長い間しまわれたままだったけれど、
もう一度、身につけられるようにしたい。
そんなご依頼をいただきました。
ジュエリーは、しまったまま時間が経つと、
パールの表面だけでなく、金具にも少しずつ変化が現れます。
今回のブローチも、
パールと金具を一度外して、
それぞれの状態を確認しながらクリーニングすることにしました。
一度、パールを外す
パールブローチのクリーニングでは、
そのまま表面を拭くだけではなく、
必要に応じてパールを一粒ずつ外して作業します。
今回も、パールを一つずつ外していきました。


パールを外すことで、
普段は見えない部分まで確認することができます。
そして、金具は金具で、
長い時間の中で付着した汚れなどを丁寧に取り除いていきます。
ブローチ針の開閉、針先の調整もします。
パールも、一粒ずつ
パールは、同じように見えても
一粒ずつ状態が少しずつ違います。
表面の様子を見ながら、
その珠に合わせて丁寧にクリーニングします。
パールは硬い鉱物とは違い、
表面の真珠層を大切に扱う必要があります。
だからこそ、
一度に強くきれいにするのではなく、
その珠が持っている美しさを見ながら整えていきます。
金具も、もう一度きれいに
パールを外した金具も、
細かな部分までクリーニングし再メッキで仕上げます。


パールがきれいになっても、
金具がくすんだままだと、
ブローチ全体の印象は変わりません。
パールと金具。
それぞれをきれいにして、
最後にもう一度、一つのブローチに戻します。
また、美しく
クリーニングを終えたパールを
一粒ずつ戻していきます。
そして、仕上がったブローチ。

新しいものに作り替えたわけではありません。
そこにあったパールも、
金具も、そのまま。
ただ、長い時間の中で少しずつ変わっていたものを、
もう一度、丁寧に整えました。
ジュエリーには、それぞれ歩んできた時間があります。
新しいものには、新しい美しさがあります。
けれど、長い時間を過ごしてきたジュエリーには、
その時間だけの美しさがあります。
受け継いだジュエリーを、
もう一度身につける。
それは、過去に戻ることではなく、
大切なものと一緒に、
また新しい時間を重ねていくことなのかもしれません。
しまっていたジュエリーを、
もう一度使いたいと思ったとき。
新しくするのではなく、
今ある美しさを、もう一度見つける。
そんな選択もあります。
大切なものを、これからも大切にしていく。
これが、私の選択。

