「この指輪、どうしたらいいでしょう。」

「母から譲り受けたネックレスなんです。」

「昔はよく着けていたんですけど、今はしまったままで……。」

FUJIKOには、そんなご相談が届きます。

メールやLINEで、写真を送っていただいて、

ある程度のことをお伺いすることもできます。

それでも私は、できることなら、一度お会いして、

直接お話をしたいと思っています。

それには、理由があります。


ジュエリーだけでは、わからないこと。

ジュエリーの状態を見ることは、もちろん大切です。

どんな素材なのか。どんな傷があるのか。

どこまで直すことができるのか。

けれど、それだけではわからないことがあります。

そのジュエリーを、なぜ今、整えたいと思ったのか。

これから、どんなふうに身につけたいのか。

あるいは、本当はどうしたいのか、まだ決まっていないのか。

そうしたことは、実際にお話をしてみないと、

見えてこないことがあります。


お話をしているうちに、気持ちが変わることもあります。

最初は、「リフォームしたい」

とおっしゃっていた方が、

お話をしているうちに、「やっぱり、この形を残したい。」

と思われることがあります。

反対に、「ずっとしまっておこうと思っていたけれど、

また身につけてみようかな。」

と気持ちが変わることもあります。

どちらが正しいということではありません。

その方が、ご自身の気持ちに気づかれたこと。

私は、それが大切なのだと思っています。


答えを急がなくてもいい。

ジュエリーのことを相談するとき、

最初から答えが決まっているとは限りません。

「どうしたいのかわからない。」

そんな状態で来ていただいても、

いいと思っています。

ジュエリーを手に取って、眺めながら話しているうちに、

少しずつ気持ちが整理されていく。

「そうか、私はこれを残したかったんだ。」

「母が大切にしていたから、私も大切にしたい。」

「今の自分なら、こんなふうに身につけたい。」

そんな言葉が、ふっと出てくることがあります。

その時間を一緒に過ごすことも、

FUJIKOの仕事のひとつだと思っています。


遠くから訪ねてくださる方も。

サロンには、

遠方から足を運んでくださるお客様もいらっしゃいます。

なかには、沖縄から訪ねてくださった方も。

ジュエリーを整えるために、
わざわざ時間をつくって会いに来てくださる。

そのことを思うと、お会いした時間そのものを、

大切にしたいと思います。

ジュエリーをお預かりして、作業をして、お返しする。

それだけなら、会わなくてもできることがあるかもしれません。

でも、そのジュエリーについて話す時間。

思い出を聞かせていただく時間。

これからどうしていきたいかを考える時間。

それは、実際にお会いするからこそ生まれるものだと思っています。


「会って話す」ことから、見えてくるもの。

ジュエリーは、言葉を持っていません。

けれど、そのジュエリーについて話すとき、

その方の中にある想いが、少しずつ言葉になっていきます。

私は、その言葉を急いで結論にするのではなく、

まず聞いていたい。

そして、その方が「これでよかった」と思える選択を、

一緒に考えていきたいと思っています。

だからFUJIKOでは、

ジュエリーを見ることと同じくらい、

その方のお話を伺うことを大切にしています。


会って話すことにも、価値があります。

ジュエリーを整えることは、

ジュエリーだけを整えることではないのかもしれません。

そのジュエリーと、

これからどう付き合っていきたいのか。

その気持ちをゆっくり確かめること。

その時間もまた、

FUJIKOが大切にしていることです。


次回は、

「技術は、想いを形にするために。」

ジュエリーをお預かりしたあと、

FUJIKOがどのように状態を見て、

どんなことを大切にしながら

技術を選んでいるのか。

「きれいにする」だけではない、

FUJIKOの技術についてお話しします。

つづく